もんちゃん1歳半 手遊び歌とイヤイヤ で のぼる階段



 私の過去の手帳には、1歳7か月の頃に「イヤイヤ」のジェスチャーにまつわるちょっと面白いエピソードがメモしてありました。思い出して懐かしい気分になりましたし、調べてみるといろいろ興味深いです。改めて人間の能力ってすごいんだと感じました。子供を見ていると、気づかされることはたくさんありますね。
 そんな育児のワンシーンを切り取って4コマ漫画風に仕立てつつ、ついでに少し詳しくなってみるのはいかがでしょうか?

 

まずは動画で   サクッと見てみよう

この動画はScratchで作ったプログラムを録画したものです、わりと簡単に作れますよ。

 

お歌が楽しい一歳半の女の子  お気に入りの歌を歌ってほしい

 歌には絶対に力がありますよね、アニメの世界に限らず。  

ArtCrayon

お気に入りの歌がある その要素はたくさん


似たフレーズの繰り返しは、興味を惹くようです。
♪とんとんとんとんひげ爺さん
 これの替え歌の、
♪とんとんとんとんアンパンマン
 という歌がお気に入りです。
好きな歌を、大好きなママが歌ってくれる。
だから子供は喜ぶんですよ。

 子供向けの歌は、やはりその大半を子供は気に入りますね。保育園や子育て支援センターで新しい歌をどんどん覚えて、お気に入りが増えます。

 特に、短いフレーズの繰り返しで歌詞が変わっていくタイプの歌は、その微妙な違いが面白いみたいですね。人間の脳が持つ報酬系を巧く活性化させる、予測可能で少し違うというパターンです。
 報酬系って言うのは、予測どおり上手くいったときに脳内で快楽物質のドーパミンが出て気分が良くなるアレですね。

 また、体を動かしたりするオプションがあると、さらに喜ぶ感じですね。もんちゃんは、くすぐられるのがお気に入りでしたが。

 手遊び歌って、思った以上に難しくて、脳の働きから見ても相当複雑なことをしているんですよね。だから上手くいったときあんなに楽しそうな笑顔を見せてくれる。脳が成長している証拠ですよ、きっと。

 

嫌いなものが明確に出てくるお年頃  嫌なことに理由なんてない

 好きなものができたなら、嫌いなものが出来るのも当たり前ですね。

気に入らない歌もある 何が嫌かは分からないけど


 ここが気に入らない?(推測)
①E-I-E-I-Oが音楽的に孤立している?高音から始まり、単調
②言葉の意味がない、文脈的に意味不明で理解できない
③何度も繰り返すけど何も変化がない
④つまり予測する楽しみがなく、報酬系も働かない

 多くの子ども向けの歌は、繰り返しの中に微細な変化(音程・歌詞・リズム)があることで、予測と報酬が生まれます。しかし「イーアイイーアイオー」は、毎回まったく同じ形で登場するため、予測の快感が薄れ、単調さが際立ちますよね。

 似たようなフレーズだけど、音階が上がって行ったりすると盛り上がりを感じ、サビに繋がってスパークすれば気持ちよさがはじけます。ですがイーアイイーアイオーは盛り上がったと思ったら結局イーアイイーアイオーに戻り、残るのはフラストレーションだけですね。子供が嫌がるのも分かる気がします。

 

本当に嫌なのかな?  ちょっと試してみよう

 相手の反応を伺う上でのポーズなのか、素直な反応なのかを見極めたい!

心底嫌いなのか確かめよう 無意識がチャンス


 やりたいことができた満足感か、寝ちゃいました
①歌を聴きたかった…叶った
②好きな歌を聴けた…楽しい
③嫌いな歌を聞いた…嫌だった
④その記憶が鮮明に残っているハズ
⑤今ならその記憶にアクセスできるかも?

 楽しく遊んだ後は、きっとやりたいことができて満足するんでしょうね、眠くなるのが自然な流れです。お歌を聞いて満足顔で眠りについたもんちゃん。

 覚えたイヤイヤのジェスチャーを試したかっただけなのか、本気でイヤだからそうしているのか。分からないなら試してみよう!ということで、さっきはパパが歌っていたあの歌を、ママが耳元でそっと歌ってみることにしました。

 果たしてその結果、反応やいかに!

 

無意識下でも反応はする  感情ポイント理論

 寝ているときに出た反応なら、それは偽りではないよね

そっと歌ってみた 寝てる子の耳のそばで


 反応しました
①寝ているのを確認します
②耳元でそっと歌ってみます
③イーアイイーアイオーと歌ってみると
④寝ながらなのにイヤイヤの身振り!

 寝ているもんちゃんにママが近づいて、『イーアイイーアイオー♪』と歌ってみました。すると、イヤイヤの手ぶりをしだしたもんちゃん!さすがにこれはわざとはできない。本当に嫌みたいですね。

 これは、その歌に対するネガティブ感情ポイントが高いと言えます。言葉が十分うまく使えない子供ならなおさら、このような感情によるメッセージを大人がしっかり受け止めなくてはいけません。

 これを、感情ポイント理論と言い、相手の感情をスコア化して状態や反応の傾向を読み解こうとする近年の教育・フィードバック・対話設計の文脈で使われる“実践的な概念”として広まりつつあるものらしいですよ。




 

子供の主張を聞き取れる、いちばんの翻訳者ママにはかなわない  一生懸命伝えているからね

調査

再認識ポイント

 一般的な「イヤイヤ期」とは
【定義】
イヤイヤ期とは、幼児が自我の芽生えとともに「自分の意思」を表現し始める時期に見られる、拒否・抵抗・反抗的な行動のこと。発達心理学では「第一次反抗期」とも呼ばれ、1歳半〜2歳ごろに始まり、2歳でピークを迎えるのが一般的。
【特徴】
「イヤ!」を連発する(指示や提案に対して否定語で応答)
自分でやりたい!でもできない!→癇癪を起こす
感情のコントロールが未熟で、思い通りにならないと爆発
親の言葉に反発するが、これは“反抗”ではなく“自我の表現”
【発達的な意味】
自己意識の芽生え:「自分はこうしたい」「これはイヤだ」という感情の輪郭がはっきりしてくる
言語発達が未熟なため、言葉ではなく行動や否定語で意思を伝える
この時期を通じて、自立心・感情表現・社会性の基礎が育まれる

ということらしいです。もんちゃんはそんなあからさまなイヤイヤ期はなかった気がします。ポコちゃんはイヤイヤ期がありましたし、まだ終わってないのかと疑いたくなることもしばしば。


改めて気づいたこととか

 子供向けの歌には、短いフレーズを音階やコードを変えながら何度も繰り返すパターンの歌が多いような気がします。これって、全く同じでは面白くないけど、知っているものと似ているから予測可能、そしてその予測通りのメロディーが来たから嬉しくなるというタイプの、人間の脳が持つ『予測して当たると報酬系がフィーバーする』機能を巧く使っているようですね。脳内快楽物質のドーパミンが出て気分が良くなるアレです。

  また、体を動かしたりするのが加わると、予測に対して体を動かすというアウトプットが必要になり難しさが跳ねあがります。
 手遊び歌は、似たフレーズの繰り返しの中で正しい振り付けをしないといけないので、実は案外難しい。小さい子ならなおさらです。これが上手くいったときの嬉しさは、大人の何倍も感じていることでしょう。
 音を聞いて体を正確に動かす、それができて達成感を感じる。脳の成長につながる体を使った報酬系学習ですね!

 手遊び歌は、音楽の聴覚処理+身体の運動制御+感情のフィードバックが同時に起こる、思った以上に複雑なものなんです。研究によると、音楽に合わせて体を動かすことで、前頭葉や基底核が活性化し、協調運動や身体イメージが発達するみたいですね。つまり、手遊び歌は“予測→的中→報酬”のループを身体で体験する遊び、ってことらしいし、そうだと思いますよ。


だからしないといけないことは?

 勉強を例に出すのはイヤなんですけど、学力を上げたいときって、難しすぎる問題集では歯が立たず、簡単すぎる問題集で生えるものがない。つまり、今の自分の能力のちょっと上くらいのレベルの問題がいちばん力になりやすい。
 これは子供にも当てはまります、自分のちょうどいいレベルを求めている。単調な繰り返しは、すでに履修済みだったのでしょうね。複雑なもの、より強い相手を求めていたサインが、無意識のイヤイヤに表れていた、ってことかなぁ?ここで名言をひとつ。

 『感情は、子供から親へ言葉を覚える前でもできるメッセージ。誰よりも翻訳上手、だって私は親なんだから。』
言葉が十分に使いこなせない小さい子は、頑張って出来る限りの知恵を絞ってメッセージを届けようとしていますから、身近なパパママがいちばん読み取ってあげないと。また、言葉が苦手な人などにも役立つスキルですから、感情ポイント理論、上手く活用していけたらいいですね。

 さっきの名言が気に入ったので短歌風にアレンジしてみました。
『感情は、子から親へのメッセージ。翻訳上手な、キミのママだよ』
あなたの愛情が空回りに見えても、きっとそれすら子は嬉しく受け取るハズです。愛をもってしたことに無駄なことなんてあるもんか!


感情ポイント理論を教育に応用するなら

 理想的なことを言えば、例えば教育などにおいては「その教え方では良く分からないから変えてほしい」とか「イメージしにくい、具体例が欲しい」などの生徒からの要求を聞いてフィードバックしたいところでしょう。しかし相手が子供や言語化の苦手な人であれば、言葉による反応は期待できません。ならば逐一その反応を見て、どのような感情にあるかによって対応を変えるというアプローチ法、これがその理論のキモってなところなんでしょうね。つまり、言語取得前の子供はまさにこれです。そこでもう一つ名言を。

 『感情も言語だぞ、シッカリ読めよ、教育者なら!』
 私も小学生にプログラミングを教えている身です、楽しんでもらっているのかが最大の判断ポイントですし、生徒には常々、『楽しむことがいちばん大事。上手くいったけどつまらないなんて、やる意味あるの?』『失敗も一緒に楽しめ!直して上手くいった時の喜びは、ノーミスクリアの何倍も感動するから!』と伝えておりますし、私自身がいちばんそう感じておりますので。




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 一般社団法人ピンタニーニャ・プログラミング学習協会


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